• 表大門の天井には色鮮やかな十二支の彫刻がある
  • 音声ガイドあり
  • 第三十八景

庶民の暮らしが見える屈指の名所

大阪天満宮・天満天神繁昌亭
【大阪天満宮】
大阪市北区 天神橋2-1-8
参拝自由(社務所9:00~17:00)
星合茶屋の営業は11:00~16:00(不定休)
【天満天神繁昌亭】
大阪市北区 天神橋2-1-34
TEL 06-6352-4874(11:00~19:00)
昼席14:00~
昼席料金:
(当日)一般2,800円、65歳以上2,500円、学生1,500円
(前売)一般2,500円、65歳以上2,300円、学生1,000円
夜席の開演時間・料金・内容などは日替わり

天神さんの奇跡が宿る場所

天神さんこと菅原道真公をまつる大阪天満宮は、949年の創建。いつの時代も大阪の庶民は“天満の天神さん”にさまざまな願いを託してきた。敷地内にある「天満天神繁昌亭」は上方落語唯一の定席。笑いの中に人情があふれる。この場所の歴史を知ると、いち早く都市となった大阪の、人々の暮らしが見えてくる。

天満宮といえば牛と梅

ご利益は時代を映す。大阪人の天神さん信仰

 今では受験シーズンに多くの学生が参拝に訪れるが、意外にも「学問の神様」との信仰が広まったのは江戸時代。町人たちが学ぶ寺子屋が増えたところ、学問に精通した道真公のご利益にあずかろうと普及していった。
 それ以前の人々が最も恐れていたのは疫病流行。創建当初から長らく「厄除けの神様」として信仰を集めてきた。また、かつては境内に能舞台があり、現在は敷地内に「天満天神繁昌亭」があるなど芸能ともゆかりが深い場所。大阪の庶民にとって大阪天満宮は心の拠り所、暮らしになくてはならない存在である。

倍返しが過ぎない!?

星合の池とすべらんうどん

 星合の池(亀の池)は、池に架かる星合橋で出会った男女は結ばれるという恋愛パワースポット。かつては今より大きな池で、ここでお見合いも行われていた。星合の池へは、御本殿の裏から境内奥に進み北側に抜ける門を出るか、繁昌亭の北側をぐるりと回ると辿り着く。
 奥にある星合茶屋では麺に切れ目が入った「すべらんうどん」を提供。もとは目が不自由な人のために考案されたが、「受験ですべらん」「芸がすべらん」とすっかり名物に。2月には梅が見頃を迎え、夏には境内の梅で作ったさわやかな特製梅ジュースが楽しめる。

亀の池とも呼ばれる通り、池の中で亀が泳ぐ

運命に導かれた悲願の定席

 大阪は落語発祥の地でありながら、戦後、長らく落語の定席が途絶えていた。桂文枝・上方落語協会会長(当時)や関係者の尽力により、2006年にオープンしたのが天満天神繁昌亭。大阪天満宮が無償提供した敷地に建設された。
 この界隈はかつて「天満八軒」と呼ばれ、演芸や芝居小屋が集まっていた場所。まるで運命に導かれるように誕生した繁昌亭は、戦後、消えかけていた上方落語の灯を必死で守ってきた人々の悲願に、天神さんが起こした奇跡なのかもしれない。

建物正面に「天満八軒」の歴史顕彰板がある

歴史通はここから参拝
境内で最古の大将軍社

 今では摂社の大将軍社が、実は大阪天満宮の起源。7世紀、都が難波長柄豊崎宮にあった時代、都を守るためにまつられ、太宰府へ左遷される道真公が立ち寄って旅の無事を祈願した。その約50年後、都で相次ぐ災禍を「道真公の怨霊によるもの」とした村上天皇が、道真公を御祭神に、ゆかりの大将軍社の森に大阪天満宮を建てた。

道真公の足跡を追ってここから参拝する人が多い