短くも激しい天才画家の生涯
佐伯祐三は1898(明治31)年、中津にある光徳寺の次男として誕生した。17歳頃から油絵をはじめ才能を発揮。現在の東京藝術大学を卒業後の1923(大正12)年末にパリに渡る。
そこで野獣派のヴラマンク(1876~1958)に「アカデミック!」と批判され、印象派風の穏やかだった画風が一変。パリの街角風景を重厚なタッチで描く独自の作風を確立した。
一時帰国ののち再び渡仏。鮮やかな色使いと繊細な線描で街角のポスターやカフェなどを描いた名作を次々に生み出したが、次第に持病が悪化。愛するパリで30年の短すぎる生涯を終えた。第一次パリ時代以降の創作活動はわずか4年余り。どの作品にも生命を削るかのように注ぎ込まれた激しい情熱が感じられる。
佐伯祐三の名作が中之島で動き出す
2022年2月2日にオープンした大阪中之島美術館。約40年前に実業家であり美術収集家であった山本發次郎(はつじろう)のコレクションが大阪市に寄贈されたことが誕生のきっかけとなった。山本發次郎が熱心に収集した作品を中心に、日本最大級59点の佐伯作品を所蔵している。