1904(明治37)年に竣工した石造りの外観が放つ、華やかさと重厚さのオーラは、国内3千を超える図書館の中でも「別格」の感がある。大阪を代表する重要文化財で、普通に本が借りられて読めるしあわせをめいっぱい味わってほしい。
その名も「大阪図書館」の正面玄関
建設のきっかけとなったのは住友家15代当主住友吉左衛門友純(ともいと)の熱意。建物の建設費だけでなく図書購入費用まで寄付し、自ら立ち上げを命じた住友家臨時設計部に設計を託した。ルネッサンス様式の外観。コリント式円柱に支えられる正面はギリシア神殿を思わせる造りで、右から「大阪図書館」の文字。開館した1904(明治37)年以前には、大阪にまともな図書館がなかったことを示している。大事業の顔でもあるこの正面玄関はしばらく「開かずの扉」となっていたが、2015年から一般の入退場も可能となった。ここから入ると気分のアゲアゲ感が違う。
世界八哲人に
大阪ゆかりの「あの人」も
中央ホール・ギャラリー上部の中間帯に描かれている世界の賢人(八哲)は、孔子、ソクラテス、アリストテレス、シェイクスピア、カント、ゲーテ、ダーウィン……と歴史上の偉人が名を連ねているが、もう一人は日本から、菅原道真公。さすが、天神さまの本場・大阪である。
蔵書と業務に中之島「らしさ」満載
大阪の行政・文化・経済の中心である場所柄、大阪の史料(古地図や版画、書など)の充実ぶりが際立っている。戦前に大ヒットした雑誌『上方』のバックナンバーも全巻読める。また、「ビジネス支援サービス」は、膨大なデータベースを使って業界・市場動向や企業情報が調べられるだけでなく、「社史」の蔵書が有名。地元企業に社史寄贈を呼び掛けている。