東京に「丸ビル」が誕生したのと同じ1923(大正12)年竣工。地上9階、地下1階、大阪で本格的なオフィスビル時代の幕開けとなったビル。重厚かつクラシックな造りで、開業当初から多くのテナントが入居できるようにと部屋はコンパクトに区切られ、法律事務所から新聞社、出版社、広告代理店、IT企業、コンサルタント、クリニック、画廊、喫茶店、インテリアショールームなどが入る。御堂筋に面した西側の外壁は、築100年近いとは思えぬほどモダンだ。ビル東側の道が微妙にカーブしているのは、そこがかつての蜆川(しじみがわ)であったことを物語る。山崎豊子『白い巨塔』の「浪速大学病院」の位置はこの場所であり、小出楢重の名画『街景』はこの高層階からの景色……など、名作にもゆかりが深い。
2019年から「生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪」にも参加。6階の金庫室などが公開されている。