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  • 第三十四景

ノーベル平和賞に値する活躍

いけがみゆきえ 池上雪枝感化院跡
大阪市北区 松ヶ枝町3-20

民家の角に建つ石碑は、日本初の感化院の場所を示す。明治の近代化で大阪は変貌を遂げるが、劣悪な労働条件と低賃金で酷使される若年労働者と予備軍である少年少女の非行化は深刻な問題となった。池上雪枝(1826~91)は若者たちが「集まり、仕事を学ぶ場所」としての少年感化院を1883(明治16)年に設立、授産場も設ける。ステッキや洋傘、石鹸などを製造して職業訓練を施し、送り出した。感化院は池上の死後に閉鎖されたが、事業の継承者は各地に現れた。「弱い人間も職業を覚え、互いに助け合うことが社会発展の近道」だと考え、行動する女性が明治の大阪ですでに活躍していた。